ケーキ屋巡りは突然に。

わたくし、おざさとはケーキ屋さんを巡るのが好きなのです。
と言っても元が出不精なのでネットで見かけるスイーツマニアの皆様方には及びませんが、一般的な方々よりはるかに多くのケーキ屋さんを訪れ、数々のケーキをこれまでにいただいていると思います。
わたくし、おざさとは何をきっかけにケーキ屋さん巡りを始めたのでしょう。
さかのぼること、数年前。わたくしの父上様が長い闘病生活を最期までがんばり、そのご褒美にいける彼の地へお見送りした後のこと。
父上様の病院お送り迎えや、入院の際の病院通い、泊まり込み等に費やした時間がぽっかり空いたのです。
さて、どうしたものか。以前からやりたかった武術や格闘技を習おかと思っておりましたが、ぐうたらゆえ道場の門をたたかず数カ月。
暇を持て余し、ちょっとお高めの新宿のカフェに入ってみた時のことでした。
専門のパティシエが所属しているらしいカフェで、ショーケースにはキラキラと輝くケーキたちが。
甘党のわたくしは0.5秒で瞳孔が御開帳です。
しかし、わたくしは当時はケーキの知識はチェーン店の洋菓子屋さんレベルで、舌を噛みそうな名前のケーキに何が何だかさっぱりでした。
メニューを見て店員の方を呼び、ケーキの詳細を伺いました。
「すみません、このガレット…デロワ?とはどんなケーキですか?」
ガレット・デ・ロワとは西洋で1月6日に縁起物としていただくパイ生地のホールケーキとのこと。
ケーキの中にはフェーブと呼ばれる小さな陶器のおもちゃが入っており、切り分けた際それが入っていると「当たり」だそうです。
店員さんは言いました「もしかしたらケーキの中にフェーブが入っているかもしれないのでお気をつけて召し上がってください。」
わたくし、ラッキーの星の下に生まれておりますが、この手の運に関してはまったくだったので「さいですか。」と深いことを考えずにガレット・デ・ロワを注文。
出てきたガレット・デ・ロワはアシェット・デセールとしてそれはきれいにデコーレションされお皿の上に鎮座しておりました。

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かぼちゃのガレット・デ・ロワ

わーいわーいケーキだー!!いただきます!と高揚しながらケーキにフォークと刺した途端「カツン」と音がしたのです。
「………………まさか、そんなことが??」
カツンといったそれをほじくりだしてみると陶器製のフェーブが姿を現しました。
「ケンちゃんあったよ!フェーブが!」「でかした!」とあまりのご都合主義的展開に脳内は彼岸島状態です。
いや、待て待て。お客さん全員を喜ばせようと全ピースにフェーブが入っているんじゃないの?とひねくれ精神全開で店員さんに報告すると「え?あったのですか?」で素で驚かれていました。
どうやら本当に大当たりのようでした。
フェーブが大当たり。そして美味しくケーキをいただいた帰り道、ぼんやりと「ケーキ屋さん巡りしてみようかな。」と思い立ったのです。
出不精なので「まずは、なるべく遠くない埼玉のケーキ屋さんに行ってみようかな」と一番の近場で調べたところ、シャンドワゾーという最近できたお店があることを知りました。
か、川口にこんなオサレなお店が?
ビビリながらも、わたくしは白いファサードに足を一歩踏み入れたのでした。

ケーキ屋巡りは突然に。

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フェーブ、ちょっとわかりづらいですね。



こちらの画像は掘り出したフェーブを洗って、「当たり」ということでお菓子とともにお店の方がお土産に持たせてくれたものです。
わたくしをケーキを巡る世界へ連れ出してくれたフェーブ。今でも我が家の引き出しにしまってあります。
皆様も素敵なケーキに出会えますように。