赤いセーターと父上様の思い出。

年末年始のセールが始まっております。
わたくし、おざさとはセーターを買いました。
色は赤。
赤を選んだのは久しぶりです。

「赤、お似合いですねー。」
赤いセーターを着て試着室から出た途端、店員さんよりお声がかかりました。
そう、わたくしは赤が似合うのです。
そういえば、亡き父上様もたいへん赤が似合う人で、よく赤いセーターを着ていたのを記憶しております。
自分には兄が二人いるのですが、兄たちは赤がてんで似合わない。
子供の中で赤が似合うのは、わたくしだけです。
父上様は目ヂカラギンギンの大変濃ゆいお顔、わたくしはあっさりフェイス。
顔は似ていないんですが、三人の子供の中ではどうやら父上様からなにかを沢山引き継いだ模様です。

父上様はギリギリ戦前生まれの人でした。
この世代の男性で、普段着に赤を取り入れる男性は、少数派ではないかと思います。
「父上様は男性にしては、珍しく真っ赤の服を着ているよね。」
ある時、父上様の赤いセーターについて尋ねたことがあります。
父上様はコッペパン(ジャム/マーガリン)をムシャりながら答えました。
彼も下戸で甘党なのです。
「ああ、下町や繁華街で赤いセーターを着て一人で歩いていると、目立つからガラの悪い(人たち)のから喧嘩をふっかけられるんだよ。」
それってまずいんじゃないの?と思ったのですが、続けて父上様は言いました。
「むこうから喧嘩を売ってきたら、こっちのもんなんだよ。」
なぜか父上様の眼が、キラキラと輝いておりました。

なんというか、血の気の多い「昭和の男」らしいといいましょうか。
申し遅れましたが、わたくしの父上様は格闘技経験ゼロですが、猛烈に喧嘩がお強い方でした。(自称ではなく、親族友人共々の証言による。)
つまり、赤いセーターは父上様にとって絶好の「喧嘩ホイホイ」だったというわけです。
喧嘩をふっかけてくる人はたいてい複数でくるとのことで、相手をフルボッコにしても父上様ご自身に非はない、とかなんとか。
………そうなのか?そういうものなのか?
なんにせよ、わたくしはコッペパン(ピーナツバター)をムシャリながら「繁華街で赤を着ると喧嘩をふっかけられる」という「お父さんの知恵袋」を承ったのでした。

わたくしは赤いセーターを着ていますが喧嘩はせず、かわりに真っ赤なフレジェとの出会いを楽しんでいこうと思います。

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2016年ルラシオンのフレジェ。水玉可愛い。