ピーチメルバというデザートをご存じでしょうか。
桃のコンポートにフランボワーズのソース、バニラアイスを添えた、アシェットデセール(デザート)のことです。
桃はただでさえ美味しいのに、アイスだの添えれば、そりゃあ間違いないじゃあないかと言いたくもなるかと思います。
しかし、素晴らしいパティシエ・パティシエールさんたちは、何をどう魔法にかけたのか、桃を桃以上の「ピーチメルバ」に仕上げてしまうのです。
わたくし、おざさとの愛するシャンドワゾーにてピーチメルバ販売のアナウンスがインスタにて発表されました。
以下シャンドワゾー公式インスタより。
ピーチメルバ
1.大きめの桃は半割りにして白ワインのシロップに一晩浸しておきます
2.器にフランボワーズソースを注ぎ、ババロワヴァニーユとグラスヴァニーユを盛る
3.砕いたアマンドクロッカンとディプロマットクリームを乗せる
4.白桃のシロップ漬けを2つ乗せ、貴腐ワインのグラニテを掛けて出来上がり!シャンドワゾー初のデザートは桃のデザートになりました、甘くてさっぱりした白桃をバニラアイスやババロワと共にお召し上がり下さい!
明日から提供する予定ですが、ご予約は明後日月曜日分から承ります、価格は1204円+税です。
こ、こりゃあ、えらいこっちゃ………。
震えました。
文字の並びを見ただけでも、美味しさが確定している。
どっこい、今年の7月は梅雨が長引き、寒い月となりました。
わたくしは「天気のいいときに食べにいくっぺかー。」なんて呑気しておりました。(一部の猛者が寒さの中、ピーチメルバへ突撃しているおりましたが。)
そんなある日、突然の「販売終了」のアナウンスが流れました。
インスタより抜粋↓
「誠に勝てながらグラシエショコラティエにて販売中のピーチメルバの製造を本日をもちまして終了させて頂きます。(中略)シンプルに、あまり需要がなかったのかなぁと言ったところです。」
シェフ、ぶっちゃけすぎですがな!!!!
突然の販売終了に「出会ってもいないのに突然のさよならなんて殺生な」といったコメントがシャンドワゾー公式インスタに多数、寄せられました。
その声を受け、「7/13営業時間内予約受付分のみ、7月土日提供で販売します。」という予約限定に変更となりました。
一縷の望みを得た、われら。しかし、みな思ったはずです。
「それも難易度、高くね?」と。
7月の土日のみ予約販売というスケジュール上、わたくしはピーチメルバをあきらめざるをえませんでした。
幻となったピーチメルバ。
………と、あきらめたつもりだったのですが、7/13当日。シャンドワゾー営業時間もそろそろ終了というとき、心に声が響いたのです。
「ピーチメルバ、予約しちゃいなよ!」
気が付くと、デスクからこっそり抜け出し、シャンドワゾーへ電話し、予約しておりました。
心はいつもわたくしの味方なのです。
心の声に従わなくてなんなのでしょう。
こうして、私は滑り込みでピーチメルバに出会うことができました。
主役の桃がグラニテ(クラッシュアイス)のドレスをまとっているかよう。
美しい。ただただ美しい。
しかしながら、わたくしはスペシャル下戸なので、アルコールに警戒しつつ、いただきました。(悲しい体質)
まずは周囲を飾るグラニテを一口。
「お い し い」
アルコールはほぼ飛んでおり、ほんのり甘みと香りが口内に漂います。
警戒心が一瞬でどこかへいってしまいました。
もうここからは止まりませんでした。
桃のコンポート、バニラアイス、ババロワ、フランボーワズソース、アクセントのクロッカン、渾然一体となり、水のようにスルスルと我が体内に吸い込まれて行きました。
ピーチメルバはお皿の上から、一瞬にして消失。
夢を見たのか?桃色の夢を。
そういった意味では、ピーチメルバはやはり幻でした。
すてきな夏の白昼夢でした。
夢と幻、どう違うのかわかりませんが、二度と会うことのできないひと夏の思い出となりました。
しかし、わたくしは川口在住という、シャンドワ通いの最良の環境条件に胡坐をかいていたと痛感した次第です。
「いつでも会える」なんて、思い込みでしかないのです。
今回のピーチメルバの件、気まぐれのようですが、個人経営のパティスリーは突然販売が始まり突然終わるのはよくあること。
7/13予約受付の速報を知るや否や、ぜひ皆様へ知っていただきたく、微力ながら即ツイッターで流しました。
告知が届き、ピーチメルバを予約出来た方がいたら幸いです。
来年さらに素晴らしくなってピーチメルバが返ってきてくれることを期待しております。