コロッケ大会の思い出

ツイッターのタイムラインがポテトサラダの手間暇について埋まり、そのうちコロッケへ飛び火した。
元となったツイートも見たが、わたくしの思うことはすべて言い尽くされていたので、割愛する。

家で最後に、コロッケを作ったのはいつだったか。
近所の方に大量のジャガイモをもらった時のことだ。
ご親戚が北海道にお住まいとのことで、夫婦お二人では食べきれないという。
したがって、自分たちより年若の家族がいる我が家へおすそ分けというわけだ。
ジャガイモは大きな袋にいっぱい入っていた。
この量は、いくら我が家でも消費するのに相当時間がかかると思った。


わたくしは、「大量にコロッケを一気に作る」ことを思いついた。
ちょうど母上様が所要で数日、家を空けていた。
コロッケは恐ろしく手間がかかる。
大量のコロッケを調理するには、もう一人手が欲しい。
その頃は父上様がご存命だったので「手伝っていただきたい」と申し込んだ。
父上様はわたくしとはウマがあうので、快諾をいただいた。

そう、ツイッターでさんざん言われていたが、コロッケは手間がかかるのである。

  • ジャガイモの皮をむきゆでる。
  • 玉ねぎをみじん切りにし、ひき肉と炒めて冷ます。
  • ジャガイモがゆであがった後つぶし、炒めた具材と混ぜ合わせ、軽く冷ます。*1
  • 冷ましたのち、小判型に成型する。
  • 成型したもにを、薄力粉をまぶし、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
  • 成形したものを、油で揚げる。

なーんだ、これだけ?という人は、たぶん料理というものをほとんどしたことがない人だ。
冷ます時間、使用する調味料の残量、使う料理器具の大きさと数、というのも計算に入れねばいけないし、さらに調理の前後には買い物と後片付けがある。

出来上がった大量の揚げたてコロッケは、我が家のダイニングテーブルを占領した。
コロッケ、千切りキャベツ*2、ソース、取り皿。
他に総菜はない。
「コロッケ大食いグランプリinジャパン」の様相である。

同市内に住む、次兄一家に「コロッケいっぱい作ったから食べに来ない?」と連絡したら、ものすごい速さでやってきた。
「いただきます」のゴングが鳴り、コロッケは瞬く間に一族の胃袋に消えた。
揚げ油は、このためにボトルを封切って使ったので、胃もたれせずにいくらでも入った。
全員が「もう食べられない」となり、大会はお開きになった。
10個ほど残り、次兄一家に半分お土産に持たせた。

美味しかった。もうコロッケは、当分いいや。
全員、そんな気分だった。

翌朝、「………冷えたコロッケ、パンに挟んでお弁当にしよう。冷えたコロッケってまたオツなんだよねー。」などと、昨晩の脱コロッケ宣言を忘れ、冷蔵庫開けると、そこにコロッケはなかった。

冷蔵庫の前で呆けるわたくしに、長兄*3がケロリといった。「コロッケは当分いいやと思ったけど、深夜目が覚めて食べちゃった。冷えたコロッケってまたオツなんだよねー。」

たぶん次兄一家のコロッケも、すでに消失していることだろう。

手間暇かけても胃に消えるのは一瞬である。


ところで先日、市販のコロッケを食べた。
すごく美味しかった。
高くても一個100円くらいだ。
100円であの手間を買えるなんて、市販のお惣菜の素晴らしさときたら。

*1:レシピは小林カツ代のものを参考。ジャガイモをつぶす際に練乳を入れる。この隠し味でコロッケが格段に美味しくなるのでお勧め。

*2:手先の器用な父上様が揚げている最中に大量にキャベツ千切りを刻んでくださった。

*3:おざさとには兄が二人いる。同市内に別に住んでいるのは次兄一家