チェリーのお舟で漕ぎ出でな。北浦和ポルトボヌール

街に人が歩いている。
外出可能と宣言がされた翌日、北浦和ポルトボヌール」さんへ伺った。
SNSでみかけたバルケット・オ・スリジェがどうしても食べたかった。

チェリーのお舟である。

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舟形タルトに ピスタチオのムースリーヌ絞り 旬のアメリカンチェリーを飾りました。(シェフのツイッターより)

 

熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな
(熟田津の港から船に乗って出発しようと月を待っていると、月も出て潮も満ちてきました。さぁ、今こそ出航の時です!)
万葉集に出てくる女流歌人額田王(ぬかたのおおきみ)の句である。
空には月、満ちた潮。そしてこのチェリーのお舟に乗って、新たなる時代の航海に出たいと思った。

 くだんの疫病は、わずか2カ月で世界を変えた。
わたくしはこの2カ月、SNSを(ほぼ)休止し、何をしていのたか。
●仕事●筋トレ●語学のお勉強と、実は何も変わらない日々を過ごしていた。
細かいことを言うと、2カ月の間、仕事量は3倍に増えていた。
この状況下において、仕事量が激増する職種なのである。

職員の中にはお子様が在宅授業のため欠勤を余儀なくされた方も多数いた。
つまり、出勤者は欠勤者のタスクもこなさなければならず、舞い込んでくる件数が着手する件数を大幅上回り、職場は完全に破たん状態であった。

ところが、わたくしはまったく変化がない。
肝が据わっているのか、単に鈍いのか。(後者だろうね。)
また、わたくしは強運の持ち主なので、報道されていた物資の不足に陥ることも全くなかった。
この状況前から備蓄していたし、手指の消毒液不足が流れるや否や、収納棚から消毒液のボトルがいくつも発見された。
数年前に、故父上様が抗がん剤治療の時、家庭内で感染等がおきぬよう、大量に消毒液を買い込んでいたのである。
思わぬ父上様からの置き土産だった。

美味しいと評判のマルジョレーヌも購入した。

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生地は歯触りよく軽く、クリームがほろ苦く、気が付くとお皿から消えていた。これは美味しいケーキだと思った。

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ポルトボヌールさん、今回も美味しかったです。ごちそうさまでした。

繰り返すが、わたくしは強運の持ち主なのである。
しかし、いくらわたくしが強運で変わらぬ日々を過ごしていても、自分以外の人々が不安で苦しんでいたら、わたくしは何一つ楽しいと思えない。
変わらぬ日常はない。
わたくしも結構長く生きていて、災害や事件がおき、一夜にしてすべてがひっくり返ったのを何度も見ている。
今回の疫病も起こりえる出来事の一つという認識でしかない。
そうであったとしても、変わりゆく世界の中で、人々には幸福であってほしいと思っている。

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わたくしはしょーもなく愚痴っぽく、気分の浮き沈み激しく、人の気持ちなんぞまったくわからぬ、あんぽんたんであるが、これからも世界の波間を揺蕩みながら、ぼちぼちやっていこうと思っている。