梅雨入り初日は、風が強かった。
心にも不穏な風が吹いた。
でも、長年の経験でわかる。
「気圧のせい。天気が変われば、気分も変わる」
人は思っているよりも、ずっと、外側から影響を受けている。
風がごうごう、雨がぽつぽつと降る中、わたくしは出発した。
シャンドワゾーグラシエが営業再開とともに、イートイン限定の
ミルフューユが復活したのだ。
アイスは追加で3つまで乗せることができる。
わたくしはいつも一つ。
今年もお目にかかれてうれしいよミルフィーユ。
昨年よりも、さらに軽くなった？
ナイフを刺すとクシャっとならず、お皿までカキンとたどり着く。
このエアリーな断面ときたら！
お隣の席に座った、ご夫婦と思われるお二人が、アイスを口に入れるたび「うまっ！」といっていた。
さらにお互いのアイスを取り換えっこして、味が変わっても「うまっ！」。
自粛明け当たりのツイッターで、どの方か忘れてしまったが、こんな感じのツイートを見た。
「我々はもはや、外食という消費が必要不可欠である。」
自宅で食事も悪くない。
でも、用意されたテーブル、家とは違うカトラリー、自分のレパートリーにはない食材の組み合わせ。
舌鼓を打ったのち、お金を支払い、店を出る。
日常の小さな彩り。
シャンドワゾーグラシエを出ると、変わらず風はごうごうと唸っていたが、心はミルフィーユのごときフワフワサクサク気分であった。
これも長年の経験だが、気分が沈む日は美味しいものを食べるに尽きる。
「美味しい」が心を支えてくれる。
この梅雨も、楽しめる気がした。
